はい。
こちらでも、早速、橋の手前で降ろされた藤白です。
とはいえ、流石に橋三連ツチャン。
全てで何がが起きるなんてことは考えられない。
しかも、今回は案内人さんからの注意事項もまったくない。
ってことは……たいしたことがない!!と思った藤白。
写真ではなく、動画モードに切り替えて、撮影しながら橋を渡ることに……
し
か
し
歩いていると、何故かカシャカシャカシャカシャと金属と金属が重なり合う音がする。
冬であれば、ダウンのチャックかなと思うところだが、このツアーは八月。
着ているものは薄着だ。
服を見るが、金具なんてついていない。
靴はスニーカーなので、当然ない。
藤白「ん? 鞄の音か?」
だが残念。
その時はタクシーの後部座席に鞄は置きっぱなしである。
藤白「じゃあ、何の音だ?」
一応、立ち止まって確認する。
が、立ち止まっても未だカシャカシャ鳴っている。
藤白「……とりあえず、橋を渡り切ったら、案内人さんに動画を見てもらおう。多分、この音も入ってる筈だし」
動画撮影モードがきちんと作動しているのを再度確認し、歩き出す。
カシャカシャという音が気になるので、橋の手摺や、橋の下を確認するが、特に何かが擦れ合っているといったものは何も見つからない。
車の通りも、人通りも勿論ない。
前後左右、360度、くるりと回って確認するが、音の原因となるようなものは見つかることはなかった。
不思議に思いながらも橋を渡り切る。
藤白の姿を確認したのだろう。タクシーの後部座席のドアが開いた。
案内人「お帰りなさい」
藤白「ただいまー。ってか、今、動画撮影してたんですけど、一緒に確認してもらってもいいですか?」
案内人「いいですよ」
未だ動画は撮影中のままだ。
時間のカウントは42秒である。
そこで一旦、撮影を終了させる。
スマホを操作し、今撮りたての動画を再生させる。
案内人「え……」
動画は0:01で切れていた。
しかも、途切れる直前、紫っぽい光が一瞬画面を横切っていた──
案内人「な、なんで……ちゃんと42秒撮ってたじゃないですか……」
藤白「ですよね。撮影停止ボタン押すところ、一緒に見てましたよね?」
謎は深まるばかりである。