京都、座敷童の出るお宿
二日目──
この日、京都文学フリマの打ち上げを終えて、旅館に戻った藤白。
なんとなく部屋の様子が気になる。
藤白が寝ている間に何かしら異変が起きるかもしれない。
僅かな期待を胸に、部屋の入口付近にある鏡台の横に台を置き、普段持ち歩いている小型の赤外線カメラを設置する。
それから、すでに旅館のスタッフの方が準備してくださっていた布団に潜り込む。
ピシッ
パシンッ
ミシミシミシミシ……
ラップ音とともに、床の軋む音。
そして、タッタッタッタッタッタッと軽やかに走る小さな足音が天井から聞こえてくる。
前日は満室だったものの、この日は藤白しか泊まっていないと聞いている。
大人の足音であれば、もっと重々しい。
やはり、ここには『何か』いる。
なんとなく気になり、布団の中からスマホで部屋の中をパシャリ。
写真を撮れば、やはりオーブが写る。
その後、スマホをいじりながら、のんびり過ごす。
時折、足音やクスクスという笑い声が聞こえる。
とはいえ、『怖い』と思うことも、嫌な気配もない。
そのうち、藤白はぐっすりと眠りについたのだが──
深夜三時ごろ。
深い眠りについていたにも関わらず、やけに人の気配を感じて目が覚めた。
真っ暗な室内
妙に近くで息遣いを感じる。
横向きで寝ていたのだが、寝返りをうつ。
すると……
藤白「え?」
目の前に顔があった。
黒目がちなクルクルとした丸い目を目が合う。
部屋は真っ暗闇だ。
けれど、青白く光る子供の容姿はしっかりとわかる。
青い着物を着た女の子と紺色の着物を着た男の子だ。
他にもざわざわと人の気配がする。
藤白「もしかして……一人だけじゃない??」
以前、座敷童で有名な緑風荘に宿泊していたときは、一人だった。
数人も座敷童がいるお宿なんて、結構貴重な体験なのかもしれない。
しかも、TVや雑誌なんかで見る座敷童が住む旅館といえば、やたらと人形やおもちゃで溢れているが
この旅館は文化財に指定されているだけあって、趣深く、伝統を大切にした造りと雰囲気だ。
それなのに、この『座敷童』乱舞は……
藤白「すごすぎるでしょ」
思わずつぶやいた途端、子どもたちはニンマリとした笑みを見せて、パッと消えてしまった。
翌朝
設置した赤外線カメラを確認すると……
やはり、オーブが飛び交っている。
別の時間帯では、障子の上の方で何かが怪しく光っているのがハッキリと映っている。
スマホなんかで撮影すると、フラッシュに埃が反射して写ることが多いのですが、これは赤外線カメラ。
真っ暗闇を映しております。
それに、この光(オーブ)の動きも不規則すぎる。
まごうことなきオーブだと藤白は確信しました。
ちなみに──
このお宿には蛇(神)様がいらっしゃると言いましたが
女将が夜、中庭に置いておいた生卵が、翌朝、消えておりました。
ええ……跡形もなく────
座敷童に蛇(神)様が住むお宿
とても空気が良く、過ごしやすい旅館です。
何より、百年以上前の建物をそのまま使っているだけに、内装や建物の造りなんかも最高です。
しかも、女将さんも、若女将もとても素敵な方でした
素敵なお宿に宿泊し、気分も運気もアゲてみるのはいかがでしょうか?
藤白、おすすめの旅館になりました。
また、京都に宿泊するときには泊まろうかなと思ってます。
皆様も、是非!
機会があれば宿泊してみてください。
その時は『菊の間』がおすすめです!!