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読むのは自己責任で── ➁

「連鎖する霊」の話を聞き終えた藤白。

 

 なんとなーく嫌な予感がし、同じ会社の営業や、得意先の人たちと夜中まで飲みました。

 

 ええ。

 だって、お酒を飲めば、朝まで爆睡できるじゃないですか。

 

 なので、翌日の仕事に差し支えのないギリギリの深夜2時まで飲んで解散しました。

 

 ホテルに入ってすぐ。

 シャワーを浴びて、速攻で寝たのを覚えています。

 

 ベッドに入って、即爆睡。

 そのあとの記憶といえば、急に寒くなって目が覚めたことでしょう。

 

 季節は夏。

 エアコンをガンガンにかけていたので、そのせいだと思いました。

 

 で

 

 す

 

 が

 

 エアコンの温度を調整しようと思っても、まったく体が動かない。

 

 しかも、覚醒すると同時に足元から

 

 ぶわぁぁぁぁぁあっ

 

 と、皮膚が粟立つのを感じました。

 

藤白(ヤバい)

 

 脳裏に危険信号が点滅します。

 

 どうにかして体を動かそうにもピクリとも動かない。

 

 ただ、自分自身の荒い呼吸と、心臓の音だけがやけに響いていました。

 

藤白(このままじゃ、アイツがくる)

 

 何故か、得意先の人が話していた女の幽霊が頭を過ります。

 

 それどころか、その女の顔までも鮮明に頭に浮かぶのです。

 

 

 

 長い髪

 土気色をした皮膚

 頰はこけ、目は落ち窪み、開いた口は真っ黒な闇──

 

 

 そんな女性が思い浮かび、さらに背筋が寒くなる藤白。

 

 

 途端、布団がぺろりと持ち上げられた感覚がし、ヒンヤリとした空気が足元から体に流れてくる。

 それから

 

 

 ズルリ──

  ズルリ──

   ズルリ────

 

 足元からゆっくりと何かが体の上を這ってくるのを感じる。

 

 

 ズシリとした重み。

 そして、人とは思えない冷たさ。

 

 どう考えても『ヤバいモノ』でしかない。

 

 逃げようにも、金縛り状態で動かない。

 

 それは、じわりじわりと這い上がり

 いよいよ藤白の胸元まで這い上がって来た。

 

 

 布団がふわりとトンネル状に盛り上がる。

 

 胸元と布団の間に空間ができた。

 その隙間から不気味に覗く二つの目。

 

 目と目があった瞬間、青白い手が藤白に伸びてきた。

 

 

 みぃぃつぅぅけぇぇたぁぁぁぁ……

 

 

藤白「ちがう! お前が探しているヤツは別の人間だ!」

 

 ばっちり目と目を合わせてハッキリと「違う」と告げる。

 

 すると、女は恨めしそうな顔をして「どこにいるのよ」と呟いた。

 

 藤白に出来ることは「違う」ということだけだ。

 

 必死に「違う」と言い続けているうちに、女は消えた。

 

 

『じゃあ、手伝ってね』

 

 

 という言葉を残して──

 

 

 

 実は、この話。

 

 某小説投稿サイトに実話怪談として書いたことがありまして。

 

 

 そうしましたらね。

 

 

 その話を読んだ人、数名から言われたんですよ。

 

 

 藤白さんの書いた『連鎖する霊』

 アレを読んだ翌日(もしくは三日以内)に

 まったく同じ体験をしたと────

 

 

 この女性の霊。

 日本各地、どこにでも出没するようでして……

 

 

 連鎖

 

 というよりも

 

 野良霊

 

 なのかもしれません。

 

 

 つまり、『一緒にあの世につれていく誰か』を探している以外

 すでに、なんの縛りもない霊だと思うと……結構、ヤバいタイプだと思うのです。

 

 

 

 

 これを読んでしまった方

 もしも、金縛りにあったり、女性の霊が出てきてしまったら……

 

『あなたの探し人は私(俺)じゃない』

 

 

 と、はっきりと言ってくださいね。

 

 でないと、彼女に取り込まれてしまうかもしれません。